介護保険法をわかりやすく解説！制度の仕組みと利用方法

高齢化が進み、介護が必要な人が年々増えています。

そんな中で、私たちの生活を支えてくれているのが介護保険法。

介護保険法って聞いたことはあるけど、実際はどんな仕組みなのか、どう使えばいいのか、よくわからない…

そんな方のために、この記事では介護保険法の基本から利用の流れまで、やさしく丁寧に解説します。

親の介護が気になる方、自分の将来に備えたい方にも役立つ内容になっています！

介護保険法とは？わかりやすく基本をおさえよう

介護保険法は、介護が必要になったときに、誰でも安心してサービスを受けられるようにするための法律です。

高齢化社会に対応するために作られた制度

今の日本は高齢化社会。

年齢を重ねると、どうしても身体が思うように動かなくなったり、日常生活の中でサポートが必要になってきますよね。

家族の中で助け合っていた介護も今では共働き家庭が多くなり、家族だけで支えるのが難しくなっています。

そこで登場したのが介護保険法。

みんなで支え合う仕組みとして1997年に法律ができ、2000年から制度がスタートしました。

40歳以上の人が加入する公的保険

介護保険は、公的保険制度という国がルールを決めて運営している仕組みです。

日本に住んでいる40歳以上の人は全員が介護保険に加入することになっています。

保険料はお給料から自動的に引かれていたり、市町村から納付書が届いたりします。

65歳をすぎると、介護が必要になったときに制度を利用できるように。

40〜64歳でも、特定の病気が原因の場合は保険を利用できます。

市区町村が運営する仕組み

介護保険は全国で共通の制度ですが、運営は市区町村です。

介護サービスを申し込んだり、保険証を発行したり、介護の相談にのってくれるのも、すべてお住まいの自治体。

「どんなサービスがあるのか」「どう申し込むのか」は、お住まいの市役所や区役所で相談できます。

わからないことがあったら、まずは窓口に聞いてみましょう。

保険料と税金をもとに成り立っている

介護保険制度は、みんなが支払う保険料と税金の両方で支えられています。

保険料は、40歳以上の人が払っているもの。

さらに国・都道府県・市区町村が出す税金も加わり、制度が成り立っています。

自分や家族が介護を受けるときも、こうした仕組みがあるからこそ安心して生活できるようになります。

介護保険法ができた理由と目的をわかりやすく解説

なぜ介護保険法が作られたのか。理由と制度が目指している大切な目的を、ひとつずつ見ていきましょう。

家族だけで介護を支えるのが難しくなったため

昔は、親の介護は子どもたちがするのが当たり前という考えがありました。

今は共働きの家庭も増え、ひとり暮らしの高齢者も多くなってきています。

介護は長期間にわたることも多く、家族だけで抱えるには限界が…

そのため、国や地域が手助けできる仕組みとして、介護保険法が誕生しました。

介護が必要な人が安心して暮らせる社会をつくるため

「介護が必要になったら、どうすればいいんだろう？」そんな不安を感じる人は多いですよね。

ですが介護保険制度があれば、必要なサービスを受けられる安心感になります。

介護が必要になっても、自分らしい生活を続けられる。

そんな社会を目指して、介護保険法が作られました。

自立支援と尊厳ある生活を守ることが目的

介護保険の基本的な考え方に、「自立支援」と「尊厳の保持」という言葉があります。

自立支援とは、介護が必要な状態でもできるだけ自分のことは自分でできるようにサポートすること。

尊厳とは、その人らしさを大切にすること。

年をとっても、病気になっても、自分らしい暮らしを続けることが大切にされています。

公平なサービス提供を実現するため

お金がある人だけが良いサービスを受けられるのではなく、誰でも必要な介護サービスを受けられるように。

介護保険制度の大きな目的のひとつです。

所得に応じて利用者の自己負担額は変わりますが、サービス内容そのものは公平に提供されるようになっています。

「必要な人が、必要なときに、適切な支援を受けられること」を目指した制度です。

介護保険法の仕組みとサービス内容をわかりやすく紹介

介護保険制度では、介護がどのくらい必要かによって受けられるサービスの種類や内容が決まります。

要介護度によって受けられるサービスが決まる

介護保険を利用するには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。

要介護認定では、介護がどの程度必要かを判断し「要支援1・2」や「要介護1〜5」といった区分が決まります。

要介護の数字が大きいほど、介護が必要な状態

要介護度に応じて、使えるサービスの種類や量が変わる仕組みです。

訪問介護・通所介護など幅広いサービスがある

介護保険で受けられるサービスには、たくさんの種類があります。

種類	内容
訪問介護	ホームヘルパーなど
通所介護	デイサービスなど
施設入所	ショートステイ 特別養護老人ホームなど

その人の状態や生活スタイルに合わせて、必要なサービスを選べます。

ケアマネジャーが利用計画をサポート

介護サービスをスムーズに受けるために欠かせない存在がケアマネジャー（介護支援専門員）。

ケアマネジャーは、利用者や家族の希望を聞きながら、どんなサービスをどれくらい利用するかを計画してくれます。

ケアプランを作成することで、無理なく、そしてムダのないサービス利用が可能に。

原則1割〜3割の自己負担で利用できる

介護保険を使ってサービスを利用する場合、原則として費用の1割〜3割が自己負担、それ以外は保険から支払われます。

負担の割合は、収入によって変動する仕組み。

年金や所得が多い人は2割〜3割になることもあります。

介護保険法における利用の流れと条件をわかりやすく解説

介護保険の申請からサービス開始までの流れを、わかりやすく説明します。

市区町村に申請して認定を受ける

介護保険を使うためには、住んでいる市区町村の窓口に申請をします。

申請は本人だけでなく家族でも大丈夫。

必要な書類を提出すれば手続きが始まります。

その後、市区町村から調査員が訪問し、本人の生活の様子や体の状態を確認。

訪問時の情報をもとに、介護がどれくらい必要かを判断してもらいます。

要支援・要介護に認定されると利用できる

調査の結果をもとに、介護認定審査会で「要支援」または「要介護」の判定がされます。

「要支援」は軽い介護、「要介護」はより多くの支援が必要な状態

認定が出ると、ようやく介護保険のサービスを利用できるように。

介護認定は「介護保険被保険者証」に記載されて通知されます。

ケアプランを作成してサービスを開始

介護保険の利用が決まったら、次はケアマネジャーと相談してケアプランを作ります。

ケアプランとは、どのサービスを、どれくらいの頻度で、どこで使うかをまとめた計画書のこと。

作成後、ケアプランにそって介護サービスがスタートです。

必要に応じて内容を見直すことも可能です。

認定の有効期限があるため更新が必要「

介護認定は一度受けたら終わりではなく、一定の期間で見直し（更新手続き）が必要です。

認定の有効期間は6ヶ月〜2年程度。状態に応じて決まります。

状態が良くなっている場合は認定が軽くなったり、悪化している場合はより高い要介護度に変更されたりします。

忘れずに更新手続きをしましょう。

介護保険法とよく混同される法律との違いをわかりやすく比較

介護保険法とよく比較される、4つの法律との違いをわかりやすく紹介します。

医療保険法との違い

医療保険法は、けがや病気のときに医療サービスを受けるための制度。

病院での診察や治療、入院費などをカバーしますが、介護サービスの費用はカバーされません。

一方、介護保険は、介護が必要な人を支えるための制度です。

どちらも「保険制度」ですが、目的と対象がまったく違うので注意しましょう。

障がい者総合支援法との違い

障がい者総合支援法は、障がいのある人が日常生活を送るために必要な支援を行う法律です。

年齢に関係なく使える制度で、就労支援や居住支援など、障がいに特化した内容になっています。

介護保険法は、主に高齢者の介護を支援する制度。

障がいのある高齢者は、年齢や状態によって、どちらの制度を使うか判断されます。

生活保護法との違い

生活保護法は、生活に困っている人に対して、生活費や住まいなどを支援する制度です。

介護保険と違って、保険料を払っていなくても必要があれば支援を受けられるのが特徴。

介護が必要な生活保護受給者も、介護サービスを無料で利用できるようになっています。

生活保護と介護保険は別の制度として運用されています。

高齢者福祉法との違い

高齢者福祉法は、高齢者が地域で安心して生活できるように、福祉サービスを提供するための法律です。

地域包括支援センターの設置や、介護予防事業などもこの法律に基づいて行われています。

介護保険法が「介護サービスの提供」に特化しているのに対し、高齢者福祉法は「地域全体での見守りや支援」が中心。

両方の法律が連携することで、高齢者をトータルで支える仕組みができています。

【まとめ】介護保険法を理解して正しく利用しよう

介護保険法は、高齢化が進む日本にとって、とても大切な仕組みです。

家族だけに負担をかけず、必要なときに、必要なサービスを安心して受けられる。

介護保険法の制度の大きな強みです。

40歳から保険料を支払い、65歳以降は条件に応じてサービスを利用できるという点も、知っておくと安心。

「介護」という言葉に不安を感じる人も多いですが、制度をしっかり理解しておけば、いざというときに落ち着いて対応できます。

この記事を参考に、介護保険制度について家族や周りの人と話してみてくださいね。