家族の介護をしながら働く人がとても増えてきました。
でも実際には、仕事と介護の両方をこなすのはとても大変なことですよね。
「もう限界かもしれない」「介護と仕事、どちらかをあきらめなきゃいけないの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、なぜ仕事と介護を両立するのが難しいのか、その理由と、どうやってその悩みを少しでも軽くできるかを、わかりやすくお伝えしていきます。
がんばりすぎているあなたに、ちょっとでもヒントや安心を届けられたらうれしいです。
介護と仕事が両立できないと感じる主な理由とは?
仕事も大切、家族の介護も大切。でも、両方を同時にやるのは本当に大変。
なぜそう感じてしまうのか、理由を見ていきましょう。
介護にかかる時間が多すぎるから
介護って、思った以上に時間がかかります。
ごはんの用意やお風呂の介助、病院への付き添いなど、1日中やることがたくさん。
「ちょっとだけ手伝えばいいんでしょ?」と思っていたけど、実際にはほとんど自分の時間がなくなってしまうことも。
朝から晩まで仕事をして、帰ってきてからも介護……。
休む暇なんてない、そんな毎日を送っている方も多いです。
職場の理解や制度が整っていないから
仕事をしながら介護をするには、職場の理解がとても大切。
でも、「介護してるから休みます」って言いにくい雰囲気の職場もありますよね。
制度があっても使いにくかったり、上司に気をつかってしまったり。
「自分だけ特別扱いされてるかも…」と気にしてしまうこともあります。
そうなると無理して働き続けて、体調を崩してしまうことにもなりかねません。
精神的・身体的な負担が大きいから
介護って、体だけじゃなくて心にも負担がかかります。
とくに認知症の介護などは会話がうまくできなかったり、思い通りにいかないことが多いです
「なんでわかってくれないの?」と悲しくなったり、「私が悪いのかな…」と自分を責めてしまうことも。
そんな日々が続くと、笑顔も減ってきて、気分が落ち込みやすくなります。
急な対応が必要になることが多いから
介護の世界では、予想外のことがよく起こります。
突然の転倒、発熱、夜中のトイレ介助…。
「今すぐ病院に連れていかなきゃ!」という時に限って、仕事の会議が入っていたり。
急な呼び出しに対応しなきゃいけないと、仕事にも集中できません。
そして周りの人に迷惑をかけている気がして、どんどん自分を責めてしまうこともあります。
情報不足で支援制度を知らないから
実は、介護を助けてくれる制度やサービスはたくさんあります。
でも、そういった情報があまり知られていません。
「もっと早く知っていれば楽だったのに!」と思う人も少なくありません。
役所のサイトを見ても言葉が難しかったり、どこに相談していいのかわからなかったり。
情報を集める時間も余裕もない中で、どうにか一人でがんばろうとして、疲れてしまうんです。
介護と仕事が両立できないことで起こる影響
介護と仕事の両立がうまくいかないと、いろんな面で大きな影響が出てきます。
離職や休職につながるリスクが高まる
仕事と介護の両立が限界にきたとき、「もう無理かもしれない…」と感じる人が増えてきます。
その結果として、休職や退職という選択をする人も多いのが現実。
本当は仕事を続けたいけど、家族のことを優先するためにはやむを得ない…という決断を迫られるのです。
収入が減って生活が不安定になる
仕事を辞めたり働く時間を減らしたりすると、当然ながら収入も減ってしまいます。
介護にはお金もかかるので、ダブルパンチで生活が苦しくなる人も。
今まで普通にできていたことが、だんだん難しくなっていき、「これから先どうなるんだろう…」と不安が募りがちに。
こうした経済的なストレスが、心にも大きな影響を与えてしまいます。
キャリアを中断せざるを得なくなる
仕事を中断すると、これまで積み上げてきたキャリアも止まってしまいます。
「せっかくここまでがんばってきたのに…」と悔しい思いをしている人もいますよね。
一度休職や退職をすると、再び働き始めるのは簡単なことではありません。
年齢や体力の問題もあり、戻るのが難しいと感じる人も多いのが現状です。
家庭内の人間関係が悪化することがある
介護をしていると、家の中の空気がピリピリしてくることもあります。
自分だけが介護を担っていると、「なんで私ばっかり?」という気持ちが強くなりがち。
兄弟や家族との関係が悪くなるきっかけにもなりやすいです。
また、介護を受けている本人と気持ちがすれ違ってしまい、ケンカになることもあります。
心身ともに疲弊して健康を損なう
介護と仕事、どちらも全力でがんばろうとする人ほど、心も体もボロボロになりがちです。
睡眠不足、食事の偏り、ストレス…。そのまま放っておくと、自分が倒れてしまうかもしれません。
「私は大丈夫」と思っていても、知らず知らずのうちに限界を超えていることも。
まずは、自分の健康を大切にすること。それが、家族のためにもなりますよ。
介護と仕事が両立できない状況を改善する方法
「両立なんて無理」とあきらめてしまう前に、できることから少しずつ始めてみましょう。
介護サービスを積極的に利用する
介護は、ひとりで全部やる必要はありません。
介護保険を使えば、訪問介護やデイサービス、ショートステイなど、いろいろなサービスを利用できます。
たとえば「日中はデイサービスに行ってもらって、その間に仕事に集中する」といった形なら、両立もしやすくなります。
「お願いするのは申し訳ない」と思うかもしれませんが、プロに頼ることで自分も相手もラクになります。

ケアマネジャーに相談すれば、合ったサービスを提案してもらえるよ
職場に相談して勤務形態を見直す
職場に事情を話して、働き方を見直すのも大事な一歩です。
フルタイムではなく短時間勤務にしたり、テレワークに切り替えたりと、相談次第で柔軟な対応が可能な場合もあります。
「迷惑かけたくない」という気持ちもあるかもしれませんが、まずは話してみないと始まりません。
介護と仕事の両立を支援するために制度を用意している企業も増えています。



思いきって相談してみましょう
介護休暇・介護休業を上手に活用する
国の制度として、「介護休暇」や「介護休業」があります。
介護休暇は、年に5日まで(2人以上の家族を介護する場合は10日)、有給とは別に取ることが可能。
また、介護休業は通算で93日まで取得でき、要介護状態にある家族のために使えます。



急な対応が必要なときなどにうまく使うと、心にも余裕が生まれるよ
地域包括支援センターに相談する
各市町村にある「地域包括支援センター」は、介護に関するなんでも窓口です。
「どんな制度があるの?」「どこに相談したらいいの?」という疑問も、ここでまとめて聞けます。
専門のスタッフが親身になって相談に乗ってくれるので、安心して頼って大丈夫。



同じ悩みを持つ人とつながることもできるかも
ケアマネジャーと連携して負担を減らす
ケアマネジャーは、介護のプロ。
家族や本人の状況に合わせて、必要なサービスを考えてくれます。
「こういうことで困ってる」と正直に話すことが、いいサポートにつながります。



頼れるパートナーとして、うまく付き合っていこう
介護と仕事を両立できないときに頼れる支援や制度
国や自治体、企業などが提供する支援制度を知っておくことで、心にも時間にも少し余裕ができます。
介護休業制度を活用する
介護休業は、要介護状態の家族を介護するために、最大93日まで仕事をお休みできる制度です。
一定の条件を満たせば、「介護休業給付金」も受け取れます。
「一度きり」ではなく、3回まで分けて取得できるのもポイントです。



少しの時間でも、ゆとりができることで介護の質も上がるよ
時短勤務・フレックスタイム制度を利用する
育児だけでなく、介護にも時短勤務やフレックス制度が使える会社もあります。
朝の時間を介護に使って、昼から出勤するというような働き方も可能な場合も。
仕事と介護のバランスを調整しながら、ムリなく続けていけるのが理想です。



会社の制度がどうなっているか、人事や上司に聞いてみよう
在宅勤務制度を活用する
コロナ禍以降、テレワークを取り入れている企業も増えています。
在宅勤務ができれば移動時間がなくなり、その分を介護に使えるというメリットも。
仕事と介護の切り替えは難しいかもしれませんが、うまく時間を使えばかなり助かります。



時間の調整がしやすくなるね
家族介護者支援事業を利用する(各自治体)
市区町村では、家族で介護をしている人を応援する「家族介護者支援事業」を行っているところもあります。
- 介護教室
- 相談会
- レスパイト(休息)サービス
- 精神的なケアなど
「地域でどんな支援が受けられるのか」は、市役所や地域包括支援センターに聞くとすぐにわかります。



支え合える場を見つけたいね
「介護者手帳」や「ケアラー支援センター」を活用する
「介護者手帳」や「ケアラー支援センター」は、介護をする人向けに情報や支援をまとめてくれる心強い味方。
手帳には介護に役立つ連絡先やスケジュールを書き込める欄があり、管理がラクになります。
支援センターでは、介護の悩み相談や、他の介護者とのつながりも持てます。



孤独を感じやすい介護生活では話せる場所があるのは大切なこと!
パナソニックなどの企業による両立支援制度を参考にする
大手企業の中には、介護と仕事の両立支援に力を入れているところもあります。
たとえばパナソニックでは、在宅勤務、介護休業、電話健康相談など、多彩な制度を整えています。
こういった事例を参考にして、自分の会社にも提案してみるのもひとつの方法。
「こういう制度があったらいいな」と思うものを、職場と一緒に考えていけたら理想ですね。
【まとめ】介護と仕事が両立できないときの対処法と考え方
介護と仕事の両立は、簡単なことではありません。
でも、すべてを一人で抱え込む必要もありません。
まずは、「つらい」と感じている自分を責めないこと。そして、周りの人や制度に頼ってみること。
今の日本には、介護を支えるための仕組みやサービスが少しずつ増えてきています。
小さな工夫や一歩が、大きな安心につながります。
どうか、あなた自身の心と体を大切にしてくださいね。
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